育児中ちゃめの喜怒哀楽

夫と1歳娘との日々、過去の思い出を小説っぽく綴ります。

シャワーの主導権を握りたがる1歳娘

f:id:chame0:20211211211829p:plain

シャワーで見る娘の成長

もうすぐ1歳半になろうという娘。

最近シャワーヘッドを自分で持ちたがる。

以前、真似っこについての記事を書いたが、

これもその一つなのかもしれない。

chame0.hateblo.jp

 

初めてシャワーを持ちたがった日は、感動さえ覚えた。

この前まで抱っこされた状態でしかお風呂に入れてもらっていた娘が、

今、自分でシャワーを持とうとしている。

すごい成長だ。

 

「何事も経験」が子育てのモットーである私は、

迷うことなくシャワーヘッドを娘に渡す。

自分の体にシャワーをかけることができた。

素晴らしい。

私は心の底から

「すごい!!上手にかけたね!!」

と褒め称えた。

褒められていることが分かる娘は、自信に満ちた顔をしていた。

 

次の日、また娘はシャワーを持ちたがった。

持たせてやると、

昨日と同様、自分の体に上手にシャワーをかけた。

それだけでなく、私のシャンプーまで流してくれた。

娘の優しさが身に染みた。

 

シャワー主導権の移り変わり

そんな日が続くと、だんだんシャワーの主導権が娘に移っていくのを感じた。

油断すると、いつの間にか娘がシャワーを持っていた。

シャワーヘッドを自由に動かして、勢いあるシャワーが色々な場所に当たるのを

楽しむようになっていた。

もう、私の頭はもちろん、自分の体にシャワーをかけることもなくなった。

最近の私は、シャンプーを流すとき、

娘が持っているシャワーの位置に頭を持っていって流している。

まるで、娘にシャワーを使わせてもらっているようだ。

 

もちろん、娘の気持ちはすごくわかる。

こんなに楽しい遊び道具はないだろう。

私だって、水道代、ガス代を気にしないでいいなら、

今でも無心でシャワー遊びを楽しめると思う。

それほどシャワーは魅力的だ。

 

娘は数ヶ月前まで

顔にシャワーがかかるのが嫌すぎて

浴室に入った瞬間泣いていた。

(今は、顔を洗うときだけ一瞬泣く)。

当時の私は、毎日お風呂に入れるのが苦痛だった。

「赤ちゃん 顔にシャワー 嫌がる」「赤ちゃん お風呂 泣く」

などと必死に検索した。

お風呂を好きになってもらうためにはどうしたらいいのか毎日考えていた。

懐かしいなぁ、大変だったなぁ。

そして、楽しそうにシャワーで遊んでいる娘を見る。

まぁ、大目に見てやるか。

 

しかし、人間の感情は移ろいやすいものである。

その後、娘の振り回したシャワーヘッドが私の頭に当たった時、

私はブチギレそうになった。

痛いし、とても危ない。

さっきのは無しだ!!

前言撤回!!

もう危ないから遊んではいけないと、シャワーヘッドを取り上げなければならない。

本来のシャワー主導権は1歳の娘ではなく、私にあるはずだ。

 

シャワーの主導権を取り戻したい

でも、私は知っている。

最近、自己主張が激しい娘のことだ。

今、私が彼女のシャワーヘッドを取り上げると、大泣きするに決まっている。

 

今日は夫の帰りが遅いので、私一人で自分と娘の入浴を済ませなければならない。

現時点で、娘の顔と頭しか洗えていない。

先はまだまだ長い。

ただでさえ、声が響きやすいお風呂場。

今、大泣きさせることだけは絶対に避けたい。

 

目標は、娘を泣かすことなく(一瞬泣きなら許容範囲)シャワーヘッドを取り戻すこと。

まず初めに、

「お母さんが使いたいから、シャワーちょうだい♪」

と穏やかに言ってみた。

すると、娘は首を傾ける。

もう、「ちょうだい」の言葉の意味は完全に理解しているはずである。

それなのに、トボけて、

「えっ?何のことでしょうか?」

みたいな雰囲気を醸し出してきたのだ。

 

演技派すぎる。

これは末恐ろしい。

 

次に、

「わぁ、ありがとう。嬉しい!お母さんにくれるのね。優しいね。

と、まだもらってもいないのに言ってみた。

「いつもキレイに使っていただきありがとうございます」

というトイレのあの張り紙と同じ戦略だ。

先に感謝をすることで、次の行動を促す。

 

しかし、私が感謝しながら笑顔でシャワーヘッドを取ろうとすると、

娘は絶対に渡すまい!と、

すごい力で握りしめた。

とても、お母さんにくれるような雰囲気ではない。

他にも、いつもなら興味を持つスポンジやブラシを渡してみたが、

この日はどれもダメだった。

 

シャワーヘッドを取り戻すための秘策

そこで、私は勝負に出た。

シャワーヘッドの根元を軽く持ち、振る。

ポイントは、

私がこっそりシャワーヘッドを操作しているというのに気づかれないようにすること。

振り続けているとバレる可能性が高まるので、ずっとは振らない。

ちょうどいい頃合いで、たまに振る。

 

突然暴れ出したシャワーに娘は戸惑っていた。

暴れ出すだけならシャワーが色々なところにかかって面白いで済むのだろうが、

厄介なことに、たまに顔にもかかる。

娘からすると、これはかなり迷惑な話だ。

 

先ほど、顔を洗った時には一瞬泣いたので、今回も泣くかもしれないとは思った。

大泣きしそうならまた別の作戦を考えればいい。

しかし、娘は泣かなかった。

何度か暴れるシャワーが顔にもかかったが、

たくましいことに、その度に顔を拭って堪えている。

 

おそらく、

いつもは母親にシャワーをかけられているので「やめてくれ!」と泣いているのだろうが、

今回は自分がシャワーを操作しているということで

泣くに泣けなかったのだろう。

私からすると、これは予想外の結果だったが

「一瞬泣きもしない」という、最高の結果になった。

 

そして、

「自分にはこの暴れるシャワーヘッドを上手に扱える能力がまだない」

「母親に渡した方が顔にかからずに済む」

という考えに至ったのか、すぐにシャワーヘッドを返してきた。

 

こうして、作戦はあっさり成功した。

 

娘は、今回のことでシャワーを持つのにも技術がいると思っただろう。

「自分が持った時には暴れていたシャワーも母親が持ったら落ち着いた」

「やっぱりお母さんはすごい」

と、尊敬の念を抱いてくれるかもしれない。

しかし、

「私は、将来お母さんのようなシャワー使いになりたい。」

と誰かに言い始めたら…という懸念もある。

 

まだ言葉を話せなくてよかった。